アナログ回路の設計に必要な基礎知識

前節、「アナログ回路はなぜ難しい?」で、アナログ回路を理解するために必要な理論・工学として以下の3つを挙げました。

  1. 電気回路回路理論
  2. 制御工学制御理論
  3. アナログ電子回路

このページでは、これら3つの理論・工学がどのようなものなのかを説明していきます。

1. アナログ回路の理解に必要な理論・工学

電気回路回路理論)」、「制御工学制御理論)」、「アナログ電子回路」の3つについて下の表にまとめました。どのような知識を身に付けることができるのか簡単に記しています。

 理論・工学  理解できるようになる内容
 電気回路回路理論 正弦波(サイン波)交流に対する回路素子の振る舞い、インピーダンスという概念を理解できる。
 制御工学制御理論 任意の入力(例えばステップ波形など)に対する回路の応答を解析できるようになる。
また、交流信号の周波数軸上での解析ができるようになる。
特に「フィードバック制御」の安定性の問題を理解できる。
 アナログ電子回路 アナログ電子回路には欠かせないトランジスタの構造や特徴を理解できる。
信号増幅の原理の理解や小信号解析といった手法を習得できる。
トランジスタを組み合わせて構成される高利得の増幅回路「オペアンプ」を理解できる。

アナログ回路の設計は、ほとんどの場合SPICEなどの回路シミュレータを用いて行います。その回路シミュレータを用いて直流解析(DC解析)、交流解析(AC解析)、過渡解析(トランジェント解析)といった解析を行い、回路動作に問題がないかを確認します。

「電気回路(回路理論)」と「制御工学(制御理論)」は、動作点解析であるDC解析、正弦波(サイン波)交流に対する解析である交流解析(AC解析)や、ステップ波形などの入力に対する解析である過渡解析(トランジェント解析)の根本となる理論・工学です。

「アナログ電子回路」は、電気回路や制御工学を基にしてアナログ電子回路の理解や設計に必要な基礎知識、解析手法をまとめたものです。そしてこのアナログ電子回路では、オペアンプという回路が登場します。このオペアンプは、ほとんど全ての応用回路で使用されるほど重要で、アナログ電子回路には欠かすことのできない回路です。


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  • 図が多く用いられており理解しやすい。ほぼ全てのページで、本を開いて左のページに説明、右のページに図という構成で、内容も分かりやすい。
【内容】
  • オームの法則やキルヒホッフの法則、インピーダンスの考え方など、アナログ回路の理解に必要な基礎知識について説明している。
  • 電子部品(抵抗、コンデンサ、コイル、トランジスタ、オペアンプなど)の説明と、これら部品の選び方について書いてある。
  • 回路シミュレーションを交えて色々な回路の動作について説明している(増幅回路、演算回路、発振回路、フィルタ、電源回路などの基本的なアナログ回路)。
  • 変調回路、受信機など少し高度な回路についても、シミュレーションを用いて分かりやすく説明している。

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2. 応用回路を理解するためには基礎知識が必要

アナログ回路の応用例として前節、「アナログ回路はなぜ難しい?」でフィルタ、A-D/D-A変換、PLL、スイッチングレギュレータといった回路を挙げました。これら応用回路を設計するのに、先ほどの「1. アナログ回路の理解に必要な理論・工学」で述べた知識がどのように必要なのかを説明します。

フィルタはある特定の周波数の信号のみ通過させる機能を有する回路で、交流信号の周波数軸上での解析、つまり交流解析(AC解析)を行う必要があります。またたいていの場合、フィルタを構成するのにオペアンプが使用されます。

A-D/D-A変換ではフィルタや積分回路が用いられ、この積分回路にもオペアンプが使用されます。
PLLやスイッチングレギュレータは、そのシステム自体がフィードバック制御されており、回路の安定性が問題となります。また、回路が起動するまでの時間がしばしば重要視されることもあり、過渡解析(トランジェント解析)を行う必要があります。

以上に述べたように、「電気回路回路理論)」、「制御工学制御工学)」、「アナログ電子回路」の3つはアナログ回路の設計を行う上で必要となる基礎知識なのです。