電子回路設計の基礎(実践編)> 4-3. PWM信号を使ったLED回路
PWM信号を使ったLED回路
このページでは、LED(発光ダイオード)の明るさを可変抵抗を使って調節することのできる回路を学習します。PWM信号を用いているため、明るさを変えても色の変化がないのが特徴です。
1. PWM信号を使ったLED回路の動作
本章「4-1. LED回路を作る」で説明したように、LED(発光ダイオード)の明るさは流れる電流量によって決まります。そのため、LEDの明るさを自由に変えられるような回路を作る場合、LEDに流れる電流量を変える方法が考えられます。しかし、LEDは流れる電流が変わると光のスペクトルが変化するため、色が変わってしまうという問題があります。
そこで、LEDの色を変化させずに明るさを変える方法として、PWM(Pulse Width Modulation)信号を用いる方法があります。
PWM信号を発生する回路については前ページの「4-2. PWM信号を作る」で説明しましたので、このページでは、まずPWM信号を使ってどのようにLEDの明るさを調整するかを説明します。図1 は、LED、抵抗、トランジスタで構成した回路です。
図1. LED、抵抗、トランジスタで構成した回路
この回路でのトランジスタの役割は、電流を流したり流さなかったりすることです。つまりON/OFFスイッチです。図1のトランジスタはNPN型バイポーラトランジスタです。図1 (a) のようにトランジスタのベース端子につながる Vpwm の電圧が Vcc のとき、トランジスタは ON状態となりLEDに電流が流れて点灯します。一方、同図 (b) のように Vpwm の電圧が 0V のとき、トランジスタは OFF状態となりLEDに電流が流れず点灯しません。
PWM信号を使ったLED回路の明るさ調整は、LEDに電流を流したり止めたりすることを目では分からないくらい短い周期で繰り返すことで実現できます。
それではまず次に、図1 の回路を実際に構成してトランジスタを ON/OFF させてLEDが点灯/消灯するか確認してみましょう。
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2. LED点灯/消灯の実験
ここでは、図1 の回路を実際に構成してトランジスタを ON/OFF させてLED(発光ダイオード)が点灯/消灯するか実験してみましょう。図2 の左側が、図1 (a) の回路をブレッドボード上に構成した様子です。まず、トランジスタのベース端子につながる Vpwm端子を Vcc に接続してみます。
図2. LED点灯/消灯の実験の様子
図2 の左側の写真は、Vpwm端子を Vcc に接続しているため、LEDは点灯しています。図2 の右側の写真は、Vpwm端子を 0V に接続したときの様子です。このときLEDは消灯します。
以上より、図1 の Vpwm端子の電圧が Vcc/0V によって、LEDは点灯/消灯することが理解できたと思います。
それでは次に、前ページ「4-2. PWM信号を作る」で作ったPWM信号発生回路を使って、図1 の回路を駆動してみましょう。
3. PWM信号を使ったLED回路の実験
ここでは、PWM信号を使ったLED回路の実験をしてみましょう。前ページ「4-2. PWM信号を作る」で作った PWM信号発生回路を図3 に示します。
図3. PWM信号発生回路
図3 の Vout端子と図1 の Vpwm端子を接続することで、明るさ調整可能なLED回路の出来上がりです。可変抵抗 VR の値を変えることにより、トランジスタがON/OFFする割合が変わり、LED(発光ダイオード)の明るさを調整することができます。図4 にPWM信号を使ったLED回路をブレッドボード上に構成した様子を示します。
図4. PWM信号を使ったLED回路 (1)
このときの Vpwm 端子の電圧をオシロスコープで見た波形が図5です。
図5. オシロスコープの画像 (1)
PWM波形の Vcc の期間が細いため、図4 の写真からも分かるようにLEDはあまり光が強くありません。
オシロスコープの波形を見ながら可変抵抗値を変えて、PWM波形の Vcc の期間が広くなるように調整したものが図6 です。
図6. オシロスコープの画像 (2)
そのときの回路の様子が図7 です。
図7. PWM信号を使ったLED回路 (2)
図4 のときよりLEDは明るく光っています。可変抵抗値を少しずつ変えながら同時にLEDを見ると、LEDの明るさも少しずつ変わっていく様子を確認することが出来ると思います。