電子回路設計の基礎(実践編)> 4-5. 非反転増幅回路を作る
非反転増幅回路を作る
このページでは、オペアンプを使用した非反転増幅回路(非反転増幅器とも言う)を学習します。電子回路では、信号を増幅する手法はしばしば用いられますが、非反転増幅回路も前ページで説明した反転増幅回路と同様、信号増幅の代表的な回路の一つです。
1. 非反転増幅回路の動作原理
図1 に非反転増幅回路(非反転増幅器とも言う)の回路図を示します。同図 (a) の Vb が前ページ「4-4. 反転増幅回路を作る」で説明したバイアス電圧を与えるための端子です。
図1. 非反転増幅回路の回路図
入力端子(Vin)に増幅したい信号を入力し、増幅された信号が出力端子(Vout)から出力されます。先ほども言いましたが、Vb端子に入力される電圧はバイアス電圧です。バイアス電圧は直流電圧で、適切に電圧値が設定されていれば正しく Vin の電圧は増幅されます。
そのため、バイアス電圧は省略され図1 (b) のように回路図が描かれることがしばしばです。バイアス電圧を入力すべき端子はグランドに接続されていますが、これは交流電圧の成分は何も入力されていないという意味で、適切にバイアス電圧が入力されていることを前提としています。
図1 の回路の Vin と Vout の関係式は式(1) のように表されます。
・・・ (1)
例えば R1 と R2 を同じ抵抗値にした場合、式(1) より Vout = 2 × Vin となります。これを図で表すと下図のようになります。
図2. 非反転増幅回路の電圧増幅の様子
図2 は入力信号は三角波、バイアス電圧は Vcc/2 としたときの結果で、出力電圧は振幅が入力の 2倍の波形が得られます。
それでは次に、実際に非反転増幅回路を作り実験してみましょう。
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2. 非反転増幅回路の実験
図3 に、疑似三角波を発生する回路の回路図を示します。図中 Vtri が、疑似三角波が出力される端子です。(前ページで示した回路と同じものです。)
図3. 疑似三角波を発生する回路
また、図4 に非反転増幅回路(非反転増幅器)の回路図を示します。図中 Vin が疑似三角波が入力される入力端子で、Vout が増幅された信号が出力される出力端子です。
図4. 非反転増幅回路(非反転増幅器)
図4 の Vb はバイアス電圧です。電源 Vcc と 0V の間に同じ値の抵抗が直列接続されているため、抵抗分圧より R5 と R6 の間の電圧は Vcc/2 となります。その電圧をオペアンプでバッファリングしているので、Vb = Vcc/2 となります。
図3 の Vtri端子と図7 の Vin端子を接続し、ブレッドボード上に回路を構成した様子を図5 に示します。
図5. 非反転増幅回路を構成した様子
まず、オシロスコープで入力信号である Vin (Vtri) 端子の電圧を確認します。Vin (Vtri) 端子の電圧を見た様子を図6 に示します。
図6. オシロスコープの画像 (1)
※ オシロスコープの入手方法については、実践編「1-5. 格安オシロスコープ」をご参照ください。
続いて、出力端子 Vout の電圧を確認します。Vout端子の電圧を見た様子を図7 に示します。
図7. オシロスコープの画像 (2)
図6 と図7 の波形を見比べると、信号が2倍に増幅されていることが分かると思います。以上が非反転増幅回路(非反転増幅器)の説明です。